“熱(や)” の例文
や、また塗った塗った、その顔は何だい、まるで白粉(おしろい)で鋳出したようだ。厚きこと土蔵(くら)の壁に似たりよ、何の真似だろう、火に熱(や)けぬというお呪詛(まじない)かも知れねえ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『荘子(そうじ)』に曰く、「至人(しじん)は神(しん)なり。大沢(だいたく)焚(や)くるも熱(や)くあたわず。河漢(かかん)沍(こお)れども寒(こご)えしむるあたわず」と。また曰く、「死生(しせい)はまた大なり。しかるにこれと変ずるを得ず」
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
あとさき路(みち)は歩いたり、中の馬車も人の出入(ではいり)、半月ばかりの旱(ひでり)続きで熱(や)けた砂を装(も)ったような東京の市街(まち)の一面に、一条(ひとすじ)足跡を印して過(よぎ)ったから、砂は浴びる、埃(ほこり)はかかる、汗にはなる
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)