炎暑えんしよ)” の例文
夫よりして友次郎夫婦ふうふ路次ろじ油斷ゆだんなく少しも早く江戸にいた如何いかにもして身の落付おちつきを定めんものと炎暑えんしよの強きをもいとはず夜を日についゆくほど早晩いつしか大井川を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さかんなるかな炎暑えんしよいろ蜘蛛くもまぼろしは、かへつ鄙下ひなさが蚊帳かやしのぎ、青簾あをすだれなかなる黒猫くろねこも、兒女じぢよ掌中しやうちうのものならず、ひげ蚊柱かばしら號令がうれいして、夕立ゆふだちくもばむとす。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
與へ干殺ほしころさんとこそたくみけれされ無慚むざんなるかな藤五郎は其身不行跡ふぎやうせきとは云ながらわづか三でふ座敷牢ざしきらう押籠おしこめられ炎暑えんしよの甚はだしきをもしのぎかね些々さゝたる庇間ひあはひの風を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)