もう)” の例文
それうもかぬな、しかしさういふのには魔睡剤ますゐざいもちゆるとすぐなほるて、モルヒネをな、エート一ゲレンは一りんもう
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
とかく言い争ってみたが、前とは打って変ってもう旦那はかいの兄弟の言いがかりだと言い張って相手にしない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
死は前からの覚悟ぞ!たとえ逆徒のやいばたおれようとも、百年の大計のためには、安藤対馬の命ごとき一もうじゃ。攘夷をとなうる者共の言もまた対馬には片腹痛い。
老中の眼鏡 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
一匹の蛇を江西のもうという蛇使いの男のところへ届けてくれと言いました。
もう将軍となん将軍の二人でございます。」
織成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
道を廻って、二人は山腹の豪勢なお大尽だいじんやしきの門を叩いた。まだほの暗い早朝だ。荘丁いえのこらは渋い目をこすッて何かと出て来る。もう旦那もやがてあとから現われた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
安陸あんりくもうという男は毒蛇を食いました。
わしの一もうにもたらず、かれの姿は、つばさのかげにありとも見え、なしとも思われつつ、鷲そのものも、たちまちはとのごとく小さくなり、すずめほどにうすらぎ、やがて、一点の黒影こくえいとなって
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがいまむじつの罪で牢内にいるばかりか、わる庄屋のもうに買収されて、その女婿むこの与力から奉行、牢屋あずかりまでみながグルになって、かいの兄弟を闇から闇へ殺そうとしているんです
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
将来天下人てんかびと兆瑞ちょうずいがお見えあそばすということ、君のおんためには死も一もうより軽しということ、それから、こんどは手まえ味噌みそで天下の野武士のぶしはわが指一本にうごくというじまん、幻術げんじゅつは天下無双むそう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)