此宿このやど)” の例文
拾ひ取り行くほどに一里づかほとりより申々御旅人樣是より先に人里なし此宿このやどへ御泊り成れと走り來るを見返れば年の頃十三四なる少女なり今日はつかれたり何所へ泊るも同じ事案内あんないたのむと家路いへぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不愉快ふゆくわい人車じんしやられてびしい溪間たにまおくとゞけられることは、すこぶ苦痛くつうであつたが、今更いまさら引返ひきかへすこと出來できず、其日そのひ午後ごゝ時頃じごろ此宿このやどいた。突然とつぜんのことであるから宿やど主人あるじおどろかした。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)