櫻色さくらいろ)” の例文
新字:桜色
非常な櫻色さくらいろが、輝きが、幸福らしい色がのぼつてくるので、そのときその場であなたを、私の胸に抱きしめるのをさへ控へる爲めには、私は隨分骨が折れた。
ひんのよき高髷たかまげにおがけは櫻色さくらいろかさねたるしろ丈長たけなが平打ひらうち銀簪ぎんかんひと淡泊あつさりあそばして學校がくかうがよひのお姿すがたいまのこりて、何時いつもとのやうに御平癒おなほりあそばすやらと心細こゝろぼそ
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すこ高過たかすぎるくらゐに鼻筋はなすぢがツンとして、彫刻てうこくか、ねりものか、まゆ口許くちもと、はつきりした輪郭りんくわくひ、第一だいいち櫻色さくらいろの、あの、色艶いろつやが、——それが——いまの、あの電車でんしや婦人ふじん瓜二うりふたつとつてもい。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
櫻色さくらいろにもあらず、緋桃ひもゝはなでもなし、りたてたるつむりよりかほより首筋くびすぢにいたるまで銅色あかゞねいろりに一てんのにごりもく、白髮しらがもまじるふとまゆをあげてこゝろまかせの大笑おほわらひなさるゝとき
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)