本式ほんしき)” の例文
このあんあづかるやうになつてから、もう二ねんになるが、まだ本式ほんしきとこべて、らくあしばしてことはないとつた。ふゆでも着物きものまゝかべもたれて坐睡ざすゐするだけだとつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
このひとは、さういふうたむことが上手じようずだつたけれども、本式ほんしき文學ぶんがくらしいものをつくることは、ほとんど出來できませんでした。さうしてると、やはり下手へたといふより爲方しかたがありません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「きみのいうことにも一理いちりはある。」と、いまでは本式ほんしきに主人になりすました影がいいました。「だいぶ親切しんせつ卒直そっちょくにいってくれられたのだから、わたしも、やはりしんせつに卒直にいこう。 ...
……などとふ、わたしだつて、湯豆府ゆどうふ本式ほんしきあぢは意氣いきなのではない。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其時そのときのりぼんいたり、へら使つかつてたり、大分だいぶ本式ほんしきしたが、首尾しゆびかわかして、いざもとところてるといふだんになると、二まいともかへつて敷居しきゐみぞまらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)