あろ)” の例文
其一ヶ所に恐しいアバズレの、爾サ宿場女郎のあがりでもあろうよ、でも顔は一寸と好い二十四五でも有うか或は三十位でも有うかと云う女が居た
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
一体何者だろう? 俺のように年寄としとった母親があろうもしれぬが、さぞ夕暮ごとにいぶせき埴生はにゅう小舎こやの戸口にたたずみ、はるかの空をながめては、命の綱の掙人かせぎにんは戻らぬか、いとし我子の姿は見えぬかと
大きさは約四尺もあろう、真黒で頭の大きい何とも分らぬ怪物かいぶつだ、流石さすがの悪僧も目前にこんなあやしみを見て深く身の非を知りその夜住職をおこしてこの事を懺悔ざんげし、その後はうって変って品行を謹しみ
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
忌嫌いみきらう間違ッた人もあろうけれど一日でも此巴里ぱりに探偵が無かッて見るが好い悪人が跋扈ばっこして巴里中の人は落々おち/\眠る事も出来ぬからさ、私は探偵の職業を
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
聞終りて警察長は「是で最う何も彼も明々白々だ」と呟き予審判事も同じ思いと見え「左様さよう、明々白々です、外にの様な事情があろうとも藻西太郎が此事件の罪人と云う事は争われぬ」
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
成らず又同じ支那人が決して二人まであろうとは思われぬ併し果して陳施寧として見れば先ず清国領事に掛合も附けねばならず兎に角日本人が支那人に殺された事で有るゆえ実に容易ならぬ事件で有る(大)私しもそれ
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)