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斑点
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しみ
ふりがな文庫
“
斑点
(
しみ
)” の例文
旧字:
斑點
部屋の隅にある
古箪笥
(
ふるだんす
)
に眼をつけると立ち上がって、その上の何やら
斑点
(
しみ
)
のあるのを透して見た上懐ろ紙を出して静かに拭きました。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これにはもっともの
理由
(
わけ
)
があった。他がどんなに綺麗でも、爪に一点の
斑点
(
しみ
)
があったら、貴族の婦人とは見えないからであった。
銀三十枚
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
父親は何もすることなしに、毎日毎日こうしてだらけたような生活に浸っていた。皮膚に
斑点
(
しみ
)
の出た大きい顔が、
脹
(
むく
)
んでいるようにも思えた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
シュポーニカの筆記帳はいつもきれいで、いつぱいに罫がひいてあつて、どこを開いて見ても
斑点
(
しみ
)
一つついてゐなかつた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:04 イワン・フョードロヸッチ・シュポーニカとその叔母
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
巴里
(
パリー
)
の舞踏場でイボンと踊った
漆
(
うるし
)
の
塗靴
(
ぬりぐつ
)
は化物のように白い毛をふき、ブーロンユの公園の草の上にヘレーネと
横
(
よこた
)
わった
夏外套
(
なつがいとう
)
も無惨な
斑点
(
しみ
)
を生じた。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
下瞼のたるみが増して、なすび色の
斑点
(
しみ
)
が骨高い頬のあたりに目立っている。咳をするたびにこれが赤ばむ。
神楽坂
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
何かしらところどころに暗い
斑点
(
しみ
)
が見分けられて、何かそこにあるなと想像されるくらいなものであった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
それでも、自ら責めているふうをまだ誇張して見せ、かすれたしゃくり泣きを喉から押し戻し、ひっぱたき
甲斐
(
がい
)
のある、その醜い顔の、
糠
(
ぬか
)
みたいな
斑点
(
しみ
)
を、
大水
(
おおみず
)
で洗い落としている。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
あめいろをした甕の地に
疣
(
あざ
)
のような焼きの
斑点
(
しみ
)
が、幾十となくあった。
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
窓の一つをじっと見つめているうちに、ぼくは、ふとなにやら白っぽい
斑点
(
しみ
)
に気がつく。そのしみは、ちっとも動かずいちめんに暗い茶色をした背景の上に、四角い
輪廓
(
りんかく
)
をくっきり浮きたたせている。
かき
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
小屋と木立だけが空と地との間にあって汚ない
斑点
(
しみ
)
だった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
まず戸口から青竹の杖が、一本スッと突き出され、つづいて
血飛沫
(
ちしぶき
)
の
斑点
(
しみ
)
をつけた裾と、土にまみれた足もとがはいって来た。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
額は昨夜のうちに、打ちみが大きく紫色に
腫
(
は
)
れあがったので、赤い布を巻きつけてあった。鼻もまた、一晩のうちにひどく腫れあがって、打ちみが
斑点
(
しみ
)
のように幾つもできていた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
斑点
(
しみ
)
の多い母親の
目縁
(
まぶち
)
が、少し
黝赭
(
くろあか
)
くなって来た時分に、お庄の顔もほんのりと染まって来た。色の浅黒い、
痩
(
や
)
せぎすな向うの内儀さんは、膝に拡げた手拭の上で、飯を食べはじめた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
束
(
たば
)
になって倒れた
卒塔婆
(
そとば
)
と共に
青苔
(
あおごけ
)
の
斑点
(
しみ
)
に
蔽
(
おお
)
われた
墓石
(
はかいし
)
は、岸という限界さえ
崩
(
くず
)
れてしまった
水溜
(
みずたま
)
りのような古池の中へ、
幾個
(
いくつ
)
となくのめり込んでいる。無論新しい
手向
(
たむけ
)
の花なぞは一つも見えない。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あとかたもなく青い
斑点
(
しみ
)
は消えてゐた。
忘春詩集:02 忘春詩集
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
空色の面紗でも張り廻わしたように、蒼々と拡がっている夜光虫の光へ、
一所
(
ひとところ
)
クッキリと
斑点
(
しみ
)
を附け、桃色の灯火が燃えているのであった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
束
(
たば
)
になつて
倒
(
たふ
)
れた
卒塔婆
(
そとば
)
と共に
青苔
(
あをごけ
)
の
斑点
(
しみ
)
に
蔽
(
おほ
)
はれた
墓石
(
はかいし
)
は、岸と
云
(
い
)
ふ限界さへ
崩
(
くづ
)
れてしまつた
水溜
(
みづたま
)
りのやうな
古池
(
ふるいけ
)
の中へ、
幾個
(
いくつ
)
となくのめり込んで
居
(
ゐ
)
る。
無論
(
むろん
)
新しい
手向
(
たむけ
)
の花なぞは一つも見えない。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それきり青い
斑点
(
しみ
)
になつてしまつた。
忘春詩集:02 忘春詩集
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
岩山の裾に黒々と
斑点
(
しみ
)
のような物の見えるのは、おおかた人穴の入口であろう。と、そこから吐き出されたように、二つの人影が現われた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
諸所に
斑点
(
しみ
)
があった。斑点はゆるゆると動いて行った。絹糸のような片雲であった。眼界を
掠
(
かす
)
めて飛ぶものがあった。雀でなければ
烏
(
からす
)
であった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ポッツリと浮かんだ一つの
斑点
(
しみ
)
。すなわち四人の人々を乗せた飛行自在の熊の皮である。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
月光
(
ひかり
)
の中へ出て、いよいよ白く見える老人の白髪は、そこへ雪が積もっているかのようであり、洋犬のように長い顔も、白く紙のようであった。顔の
一所
(
ひとところ
)
に黒い
斑点
(
しみ
)
が出来ていた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
茫々と
展開
(
ひら
)
けている芒の原には、春の陽がなんどりとあたってい、小松が
斑点
(
しみ
)
のようにところどころに生え、小丘が波の
蜒
(
うね
)
りのように、紫ばんだ
陰影
(
かげ
)
をもって、
芒
(
すすき
)
の上に起伏していた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“斑点”の意味
《名詞》
斑点(はんてん)
まだらにある点。ぶち。
(出典:Wiktionary)
斑
常用漢字
中学
部首:⽂
12画
点
常用漢字
小2
部首:⽕
9画
“斑点”で始まる語句
斑点帯