打撞ぶつ)” の例文
師走しはす算段さんだん𢌞まはつて五味坂ごみざか投出なげだされた、ときは、懷中くわいちうげつそりとさむうして、しんきよなるがゆゑに、路端みちばたいし打撞ぶつかつてあしゆび怪我けがをした。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蝶吉はつまずくように駒下駄を脱いで、俯向うつむけに蹌踉よろけ込んで、障子に打撞ぶつかろうとして、肩をかわし、退すさって、電燈を仰いで、ふみしめて立った。ほッという酒の息、威勢よく笑って
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しおれて見える処へ、打撞ぶつかったその冷い紋着もんつきで、水際の立ったのが、うっすりと一人浮出したのであるから、今その呼懸けたお三輪さえ、声に応じて、結綿ゆいわたの綺麗な姿が、可恐こわそうな、可憐かれんな風情で
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)