手頭てくび)” の例文
翁は、自から大きな鉄槌かなづちを取り上げて、少女の両手を拡げさせて、動脈の打つ手頭てくびのあたりへ五寸釘をち込んで、白木の十字架に打ち附けた。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
ト文三が手頭てくびを振ッて見せる。お勢は唯点頭うなずい而已のみで言葉はなく、二階を降りて奥坐舗へ参ッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「キリスト様もこうやって死なれた。この子も神のために犠牲ぎせいになるんだ。」といって、また額に釘を当てて、打ち込もうと鉄槌を握った太い手頭てくびに力瘤を入れた。
(新字新仮名) / 小川未明(著)