我意がい)” の例文
我意がいを通そうとするみにくい泣き顔、人前にはかくしておきたい悲しい動作を、その幼児おさなごのさまざまの生活の場面にみないでしょうか。
おさなご (新字新仮名) / 羽仁もと子(著)
答らるゝに伊豆守殿點頭うなづかれ成程當節たうせつは越前を名奉行と人々うはさを致すやに聞及べりされは越前はきらひなり兎角に我意がい振舞ふるまひ多く人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「しごくなおはからい……いまの身になんのかってな我意がいを申しましょうぞ。よろずとも、よろしきようにおねがいするばかりじゃ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我が先へ汝は後にと兄弟争いせめいだ末、兄は兄だけ力強くおととをついに投げ伏せて我意がいの勝を得たに誇り高ぶり、急ぎその橋を渡りかけ半途なかばにようやくいたりし時
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
胸にたゝまるもや/\の雲の、しばし晴るゝはこれぞとばかり、飲むほどに酔ふほどに、人の本性はいよいよ暗くなりて、つのりゆく我意がい何処いづこにかれらるべき
琴の音 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
次郎兵衛の家出も、要作が無理押しに我意がいを押し通そうとしたからである。若い者をあたまから叱り付けて、なんでもおれの云う通りになれと云えば、若い者は承知しない。
こゝろならずもむことをませんので、けつして我意がいつのらせた不届ふとゞき次第しだいではありません。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
させおのれら我意がいまかせて退出後たいしゆつごにゆる/\休足きうそく酒盛さかもりなどして夜に入て評定ひやうぢやうし又もなかれてかへすなとよく/\舜帝しゆんていの御心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まだ部屋住へやずみではあるが、藩の向背こうはいに依って、殉死にも、籠城にも、加わらせる考えでいると云ったので、喜兵衛はもう我意がいを張るわけにゆかなかった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
召抱へ候と云ば越前守殿否々いや/\かれ輕蔑ないがしろになすには有間じ是は正しき舊來きうらい家付の家來に付其もと我意がい異見いけんに及び兎角とかく邪魔じやまに成故ならん然樣さやう空言そらごと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と、歎声を発し、果ては、身もだえせぬばかり、玄蕃允の我意がいののしっておられる——という帷幕いばくの内紛が洩れるに至って、中軍の士気も何となく鬱々うつうつと重く
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我意がいもいわせず、浅井家へとつがせたのは、この信長であった。——国をたもつためには是非もない。わが家の犠牲にえになれといいふくめられて、泣く泣く輿こしにかくれて行ったお市のすがたが……。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人々の眼は、越前守の態度を、あきらかな我意がい強情ごうじょうと見
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)