“憎悪”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぞうお78.9%
にくしみ13.4%
ぞうを2.8%
にくみ2.1%
にく1.4%
にくあし0.7%
ねたみ0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
どんな人間に対しても、その死となれば、日頃の憎悪ぞうおや感情を超えて、誰もが、一種冷ややかな厳粛感に打たれてくるものとみえる。
夏虫行燈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして何より気味の悪いことは、人面疽の眼が気絶している紋兵衛の顔に注がれていることで、その眼には憎悪にくしみが満ち充ちている。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かれは人に捕へられて、憎悪ぞうをあまり、その火の中に投ぜられたのであらうか、それとも又、ひと微笑ほゝゑんで身をその中に投じたのであらうか。それは恐らく誰も知るまい。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
貴所あなたの御同志が政府の憎悪にくみを受けて居なさいますことは、兼々承知致して居りまするが、貴所あなたの御一身にのみ、不意の御災難が降り懸かると云ふのは
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
当の相手の無辜むこの女性の存在を死ぬほど呪詛のろい、憎悪にくしむものであるが、物わかりのよい……御主人の結局のためばかりを思っている久美子夫人は、彼女のこうした潔白な態度を非常に喜んだ。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
であるから人の困厄を見れぱ、其人が何人なんびとであらうと、憎悪にくあしするの因縁いはれさへ無くば、則ち同情を表する十年の交友と一般なのである。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)