憂慮ゆうりょ)” の例文
これ勝伯の当時においてもっとも憂慮ゆうりょしたる点にして、吾人はこれを当時の記録きろくちょうしてじつにその憂慮のしかるべき道理どうりを見るなり云々うんぬん
それいらい『宇宙の女王』号よりの無電連絡はとだえておりまして、すでに一時間余を経過しており、同号の安否はすこぶる憂慮ゆうりょされております。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし、話の内容は決して愉快ゆかいなものではなかった。塾の将来に対する憂慮ゆうりょや、理事長と塾長に対する同情と激励げきれいの言葉が、ほとんどそのすべてであった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
彼女は、短い言葉で受け答をしながらも、その白いおもては、だん/\深い憂慮ゆうりょに包まれて行った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
その後暴人ぼうじん江戸市街しがい横行おうこうし、良家りょうか闖入ちんにゅうして金銭をかすむるのうわさありし時も、先生すこぶる予が家を憂慮ゆうりょせられ、特に塾員じゅくいんめいじ、きたって予が家に宿泊しゅくはくせしめ、昼夜ちゅうや警護けいごせられたることあり。
久慈たちにクロクロ島をあずけておいたが、その後、彼からの通信は来ず、そのうえ、クロクロ島は、洋上を漂流しているなどと、非常に憂慮ゆうりょすべき事態の下にあったのである。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「お話中を恐れ入りますが、他の重大事件には私は殆んど関心を持って居りませんので。はい、只々ただただ重大人物博士の失踪しっそうについて非常なる憂慮ゆうりょと不安と焦燥しょうそうとを覚えている次第でございます」
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
勇敢なる大尉及び同乗者等の安否あんぴは、極めて憂慮ゆうりょさる”
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)