慰藉なぐさめ)” の例文
身も魂も投げ出して追憶の甘きうれいにふけりたいというはかない慰藉なぐさめもてあそぶようになってから、私は私にいつもこう尋ねるのであった。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
せめてもの慰藉なぐさめにしようと試みるのであったが、しかし何となくその身の行末空恐そらおそろしく、ああ人間もこうなってはもうおしまいだ。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
我はわが慰藉なぐさめの慕はしき聲を聞きて身をめぐらせり、されどこの時かの聖なる目の中にいかなる愛をわが見しや、こゝにしるさじ 七—九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
人間に慰藉なぐさめを給はる父よ。精霊よ。願くはわたくしの此胸にお宿下やどりください。そしてあらゆる罪悪をおいやし下さつて、わたくしの霊をお救下さい。
どうせ助からないにしても、他の病人だと、後に残る者達を心ゆくまで抱擁して、彼等の面影をあの世へまでもってゆけるという慰藉なぐさめがあります。
誤診 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
丁度談話はなしをするやうな調子で、さま/″\慰藉なぐさめを書き籠め、さて飯山の消息には、校長のうはさやら、文平の悪口やら
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
これは、理窟から云へば、慰藉なぐさめだが、實際さうなつたらこはいだらう。私は、ありつたけの力で、その考へを抑へようとつとめた。私は、しつかりしようと努めた。
由無よしな慰藉なぐさめは聞かじとやうに宮はしながらかしらりて更に泣入りぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
固き基を与えた、慰藉なぐさめ多き詞であったか。
いひしらぬ慰藉なぐさめのしらべを
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
慰藉なぐさめせし野に立てば
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
切なさは可懐なつかしさに交つて、足もおのづからふるへて来た。あゝ、自然の胸懐ふところ一時ひととき慰藉なぐさめに過ぎなかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
その迷惑をするのが却て慰藉なぐさめになり、たよりになるのである。ステパンはこんな独語ひとりごとを言つてゐる。
優しい、十分慰藉なぐさめになるような、8895
弁護士は小作人と地主との争闘あらそひを、蓮太郎は労働者の苦痛くるしみ慰藉なぐさめとを、叔父は『えご』、『山牛蒡やまごばう』、『天王草てんわうぐさ』、又は『水沢瀉みづおもだか』等の雑草に苦しめられる耕作の経験から
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
体を此格好にしたゞけでも、もう慰藉なぐさめになり歓喜を生ずるのである。セルギウスは俯伏うつふしになつた。髪の毛が顔に掛かつた。もう大分髪の毛のまばらになつた額際ひたひぎはを、湿つて冷たい床に押し当てた。
君は子供の墓地に近く住むことを唯一の慰藉なぐさめとしている。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その慰藉なぐさめにあらじかし
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)