御睨おにら)” の例文
「まあ、憎らしい事ばかり仰有おっしゃいます。ではもう始めからわたくしを、御捨てになる御心算おつもりでございますか。」と、優しく若殿様を御睨おにらみなさいました。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
紳士は其儘そのまゝかきいだきて、其の白きものほどこせる額を恍惚うつとりながめつ「どうぢや、浜子、嬉しいかナ」と言ふ顔、少女はこびたゝへしに見上げつゝ「御前ごぜん、奥様に御睨おにらまれ申すのがこはくてなりませんの」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)