御座みくら)” の例文
天皇となりすまして、偽装の御座みくらに耐えていた花山院ノ師賢も、いまは御簾内みすうちにも居たたまれず、ほかの廷臣らと共にうろうろして
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恐らく鳴尾君の讃美歌は天上のエホバの御座みくらにまでとどいたことであろう。私は時に鳴尾君の祈祷きとうの姿を瞥見べっけんすることがあった。
西隣塾記 (新字新仮名) / 小山清(著)
にまのあたりに見奉りしは、二四紫宸ししん清涼せいりやう御座みくら朝政おほまつりごときこしめさせ給ふを、もも官人つかさは、かくさかしき君ぞとて、みことかしこみてつかへまつりし。
「私は御座みくら平之助という者です」こう云って誰かと挨拶を交わしているようだ、びっくりしてそっとのぞくと、旦那は井戸端に立って隣り屋敷の人と話をしている。
風流化物屋敷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
高御座たかみくら輝き満つ、日の御座みくらただ照り満つ。御剣や御光添ひ、御璽みしるしやいや栄えに、数多かずさはの御鏡や勾玉や、さやさやし御茵みしとねや、照り足らはせ。大君。我が大君。あきかみ
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ありし往時そのかみ、玉の御座みくら大政おほまつりごとおごそかにきこしめさせ玉ひし頃は、三公九けいかうべれ百官諸司袂をつらねて恐れかしこみ、弓箭きうぜん武夫つはもの伎能の士、あらそつて君がため心を傾ぶけ操を励まし
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
星の御座みくらへいざ疾く具せむ
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
御座みくらをばみどりによそふ。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
御座みくらにすがる醉あらむ。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
青史のちつ御座みくらする
騎士と姫 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
もとより耕農に使うひどいガタ車であったが、むしろを敷いて帝と皇后の御座みくらをしつらえ、それにお乗せして
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柘榴屋敷へはいったのは御座みくら平之助という若侍である、浅野家の江戸家老で一万二千石を取る植田主水という人の三男坊だが、絶家していた御座姓を継いで広島詰めになった。
風流化物屋敷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
今こそは依り立たせ、けふこそは照り立たせ。高御座たかみくら輝き滿つ、日の御座みくらただ照り滿つ。御劍や御光添ひ、御璽みしるしやいや榮えに、數多かずさはの御鏡や勾玉や、さやさやし御茵みしとねや、照り足らはせ。
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
高日たかひめぐれる黄金こがね御座みくら
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
常虹とこにじ御座みくら
焔の后 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
院を中心にして、策動し、流言し、暗中飛躍をする無数の政客や、武人や、策士を、法皇はやはり高い御座みくらのうえからよく観ておられると、今さら心服するのであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今こそは依り立たせ、けふこそは照り立たせ。高御座たかみくら輝き満つ、日の御座みくらただ照り満つ。御剣や御光添ひ、御璽みしるしやいや栄えに、数多かずさはの御鏡や勾玉や、さやさやし御茵みしとねや、照り足らはせ。
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
御座みくらを、かくは。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
それが終ると、席はまた清涼の昼の御座みくらへ移された。——なおまだ、夜の御殿みとのへお入りないのは、一たん休息に退がった公卿たちが、ふたたび御前にまかるはずだったからである。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北条幕府から観て、好ましからぬ皇太子は、皇太子にもなれず、また危険視される天皇は天皇の御座みくらからも追われるというような超権力の存在を、みかどとして、どうして坐視していられようか。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)