店請たなうけ)” の例文
由「ハヽア此の座敷つぼへ世帯を…成程うから持ちたいと思ったが、今迄店請たなうけが無いから食客いそうろうでいたが、是から持ちますからお前店請になっておくんなせえ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
こういうこともあろうためだ、路は遠し、大儀ながら店請たなうけの方へ掛け合おうと、差配おおやさん、ぱっちの裾をからげにかかると、愛のやつのうろたえさ加減ッたらなかったそうで。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
母様いたく喜びたまひて、幸ひ近き今川小路に、相応ふさはしき家ありしを。これも母様の店請たなうけとなりて借り受けたまひつ。いづれに我を嫁入らすべき方様に、入らぬものいりかけるでもないと。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
おくあきなむきも追々都合よきむね便たより有に付やがて金銀をたくはへ歸り來らんとたのしみ待居たる折柄をりから店請たなうけの方より今度彦兵衞の一件を委細くはしくらせ來りしかば妻子は大いになげかなしみしが如何にも其知らせを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
イヤあのばうさんに困つてるのだよ、店請たなうけがあつたんだけれど其店請そのたなうけ何所どつか逃亡かけおちをしてしまつたので、今にもアノばうさんにねむられると係合かゝりあひだと思つて誠にあんじてるのサ。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
言聞いひきかせ其儘すぐに支度して店請たなうけ人の清右衞門に相談せんと出行いでゆきける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不思議の縁で昨年来よりして手前店請たなうけになって駒形へ店を出させましたかどもございましたが、久しく音信いんしんもございません、銀座へ越します時もとんと無沙汰で越しました、しかる処
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
以て申立て終に死人に口無くちなしたとへの通り彼札の辻の人殺しは道十郎に事きはまり殘骸は取捨に相成家財かざいは妻子に下し置れ店請たなうけ人なる赤坂の六右衞門方へ妻子の者は泣々なく/\引取れ長庵は何の御とがめもなく落着らくちやくせしかばこゝに於て三州藤川在岩井村へは此由を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
丹「へえ、わしは年来勤めました家来で、店請たなうけ致してる者でごぜえます」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)