山鴉やまがらす)” の例文
「渡しましたが——あの娘は——何しろああ云う娘ですし、——白鳥はくちょう山鴉やまがらすになどと——、失礼な口上ですが、——受け取らないと申し——」
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのミサキの最も主要なものは狐であったが、正月には山鴉やまがらすもまたそう呼ばれる。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
艶々つやつやと映った時、山鴉やまがらす嘴太はしぶとが——二羽、小刻みに縁を走って、片足ずつ駒下駄こまげたを、くちばしでコトンと壇の上に揃えたが、鴉がなったくつかも知れない、同時に真黒まっくろな羽が消えたのであるから。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
枝を踏み折る山鴉やまがらす
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
それはみにく山鴉やまがらすが美しい白鳥はくちょうに恋をして、ありとあらゆる空の鳥のわらい物になったと云う歌であった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)