小簾をす)” の例文
「玉だれの小簾をすすけきに入りかよひね」(巻十一・二三六四)、「清き月夜に見れど飽かぬかも」(巻二十・四四五三)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
朝日あさひかげたまだれの小簾をすにははぢかヾやかしく、むすめともはれぬ愚物ばかなどにて、慈悲じひぶかきおや勿体もつたいをつけたるこしらごとかもれず、れにりてゆかしがるは
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
心なく花ふきちらす風もあり小簾をすになごりを留むるもあり
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
秋かぜに御粧殿みけはひどの小簾をすゆれぬ芙蓉ぞ白き透き影にして
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
小簾をすのすきかげ隔てといへば、一重ばかりもましきを、此処十町の間に人目の関きびしく成れば、頃は木がらしの風に付けても、散りかふ紅葉のさま浦山しく、行くは何処どこまでと遠くながむれば
雪の日 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)