小姓こしやう)” の例文
頃は八月某日に原田甲斐の世話で小姓こしやうになつてゐた塩沢丹三郎と云ふものが、すゞきに毒を入れて置いて、それを自ら食つて死んだ。
椙原品 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「大阪にうめすけと云ふ役者があるの、綺麗な顔ですよ。このあひだね、お小姓こしやうになつたの、桃色のお振袖ふりそでを着てましたよ。」
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
殺はやすけれどこゝに一ツの難儀なんぎといふは小姓こしやう次助佐助の兩人にてかれは天一とは幼年えうねんより一所にそだちし者なれば天一を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
母樣おつかさんまへであるから、なん見得みえも、色氣いろけもなう、鼻筋はなすぢとほつた、生際はえぎはのすつきりした、きつとして、まゆやさしい、お小姓こしやうだちのいろしろい、面長おもながなのを横顏よこがほで、——團子だんご一串ひとくし小指こゆびねて
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
引き拔切合處に太田樣の方には中小姓こしやう徒士かちなどにも手利てきゝの者之あり其上陸尺ろくしやくの七右衞門はちからもありてよくはたらき候然るに嘉川樣の方には中小姓こしやう孕石はらみいし源兵衞安井やすゐ伊兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
差掛さしかけさせくつしと/\と踏鳴ふみならし靜々とぞ歩行あゆみける附從つきしたがふ小姓こしやうの面々には麻上下あさがみしも股立もゝだちを取て左右を守護しゆごしける引續ひきつゞいて常樂院天忠和尚てんちうをしやうむらさきの衣に白地の袈裟けさを掛け殊勝しゆしようげに手に念珠ねんじゆ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)