おどか)” の例文
私が後に心を残して迎えにきたえつやと一緒に帰ると、先廻りをした友達が不意に物陰からあらわれて私達をおどかした。
生い立ちの記 (新字新仮名) / 小山清(著)
小紅屋のやっこたいらの茶目が、わッ、とおどかして飛出す、とお千世が云ったはその溝端。——稲葉家は真向うの細い露地。片側だて四軒目で、一番の奥である。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おどかしっこなしサ。現在お前は私の傍にこうやって肩を並べて歩いているじゃないか」
殺人の涯 (新字新仮名) / 海野十三(著)
妾が気が付いてからのちの一週間ばかりというもの、警察の人や、うちの主人や、そのほかにも役人らしいエラそうな人が何人も何人も、毎日のように妾の枕元に遣って来ちゃ、おどかしたり
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「だって、姉さんがおどかすんですもの。私吃驚して遁出にげだしましたけれど、(お竹蔵。)の前でしょう、一人じゃ露地へ入れませんもの、可恐こわくって、私……」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
でも、ずんずんいらっしゃって、座敷へ入りそうになりましたから、私、蒼い灯をつけておどかしたでしょう。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
例の訛った下卑た語調ものいいおしは利かないがおどかすと、両切の和煙草を蝋巻ろうまきの口に挟んで、チュッと吸って
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おどかしては不可いけない。何、黒山の中の赤帽で、そこに腕組をしつつ、うしろ向きに凭掛もたれかかっていたが、宗吉が顔を出したのを、茶色のちょんぼりひげはやした小白い横顔で、じろりとめると
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「でも何、先刻さっき私をおどかしたのは、あれはお前が考えたの。」
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)