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嗄
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が
ふりがな文庫
“
嗄
(
が
)” の例文
顔中一パイに湧き出した汗を拭いつつ、シャ
嗄
(
が
)
れた声でシャクリ上げシャクリ上げ泣く少女の背中と、若林博士の顔とを見比べた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
まったく狙撃されたように飛び上ったほど——つまり私はびっくりしたんだが、いきなりしゃ
嗄
(
が
)
れ声の
日本言葉
(
ジャポネ
)
が私の耳を打ったのである。
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
伊織の声は、老婆みたいにシャ
嗄
(
が
)
れていた。兵庫は不審に思って、彼の鋭鋒を、そのなすがままに避けて、しばらく眺めていると、やがて
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と云う者があった、「だっておせんは私と結婚しているんだから——」変にしわ
嗄
(
が
)
れた低い声だが、部屋のすみずみまではっきりと聞こえた。
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
虫歯の歯並が悪い口元に笑ふと
愛嬌
(
あいけう
)
があつた。どこか男の子のやうで、少ししや
嗄
(
が
)
れたやうな声も大人のやうに太かつた。
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
或
(
ある
)
時は、三造に向って看護婦の面前で、「看護婦を殴れ。殴っても構わん」などと、憤怒に堪えかねた眼付で、しわ
嗄
(
が
)
れた声を絞りながら叫んだ。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
太いしゃ
嗄
(
が
)
れ声でいいながら、将軍さまのうしろにまわり、しごくもっともらしい顔つきで、ジャブジャブ背中を洗いはじめたから、こいつは奇観だ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
妖物
(
ダムドシング
)
?」と、彼は見かえりもせずに答えぬ。その声は怪しくうら
嗄
(
が
)
れて、かれは明らかにおののけり。
世界怪談名作集:04 妖物
(新字新仮名)
/
アンブローズ・ビアス
(著)
そしてしゃ
嗄
(
が
)
れた、胸につまったような声で、何事かしきりに云っているのであった。顔いっぱいに暑い日が当って汚れた額の創のまわりには玉のような汗が湧いていた。
小さな出来事
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
一々
惟然
(
ゐねん
)
吟声しければ、師
丈艸
(
ぢやうさう
)
が句を今一度と望みたまひて、丈艸でかされたり、いつ聞いてもさびしをり整ひたり、面白し面白しと、しは
嗄
(
が
)
れし声もて讃めたまひにけり。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
(云う声はしだいにうわ
嗄
(
が
)
れて、
鬢髪
(
びんぱつ
)
そよぎ、顔色すさまじ、下の方の木かげより以前の雨月忍び出で、息をのんで内の様子を窺う。玉虫はかくとも知らず、更に祭壇のかたを指さす。)
平家蟹
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そういう地声が、すこしシャ
嗄
(
が
)
れているところをみると、どうやらこの夫人の素性がわかるようだ。無論、風邪を引いてるんじゃあるまい。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼の声は、鶏のようにシャ
嗄
(
が
)
れてしまった。お
吟
(
ぎん
)
は、どこにも見えないのだった。姉をよぶ声が次第に絶望的になってきた。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
子姓
(
こしやう
)
のやうな顔をして、乱暴な口を利きながら、
教鞭
(
けうべん
)
の代りに二尺
差
(
ざ
)
しを手にしてゐる雛子の前で、小型の
餉台
(
ちやぶだい
)
に向つて、チビはしや
嗄
(
が
)
れたやうな太い声をはりあげて、面白い節をつけて
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
香具師もいろいろだが、ここの空地でシャ
嗄
(
が
)
れ声を振りしぼッていたのは、三十がらみの
痩
(
や
)
せ浪人といった風な男。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
第一、この間、電話で聞いた白鷹氏の朗らかな音調と、今日会った白鷹氏のシャ
嗄
(
が
)
れた、沈んだ声とは感じが全然違っていた事を思い出したのであった。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
騎馬一団の士たちと共に、ひとしくこれへ退いて来た
玄蕃允
(
げんばのじょう
)
は、手綱の一方もちぎれている朱の鞍から跳び降りると、
叱咤
(
しった
)
にしゃ
嗄
(
が
)
れた声をしぼって
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると或る夜の事、三太郎君がウンウン唸る卵を
懐
(
ふところ
)
に入れたまま、ウツラウツラと睡っているうちに、不意にどこからともなくシャ
嗄
(
が
)
れた声が聞こえて来ました。
卵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
磯野丹波が、徳川勢と気づいて、しゃ
嗄
(
が
)
れ
声
(
ごえ
)
をふりしぼりながら、返せッ——と叫びかけた時、何者か、彼の横あいから、びゅッと水に濡れた一槍を繰り出した者がある。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ヒッソリした家の中で汗を拭き拭きシャ
嗄
(
が
)
れた声を絞りつづけたので、人通りのすくない時刻ではあったが、一人立ち止まり二人引っ返ししているうちに、近所界隈の女子供や
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、声もしゃ
嗄
(
が
)
れ果てた号令が、敵方の谷間で聞えた。——藤吉郎もまた、
真似
(
まね
)
るように
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私はシャ
嗄
(
が
)
れた声を振り絞った。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いきなり横合の
樹陰
(
こかげ
)
から跳び出した人影がある。しゃ
嗄
(
が
)
れ声ですぐ老人であることは分ったが、手には、槍を引っ
提
(
さ
)
げ、
袴
(
はかま
)
を高く
括
(
くく
)
し上げて、まるで
夜叉
(
やしゃ
)
のような
権
(
けん
)
まくだった。
夕顔の門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小六はべッと唾を吐いて、忌々しそうに眉を吊り上げ、お延の肩を蹴飛ばしかけたが、その時表の方で客呼びの源七が、またもやしゃ
嗄
(
が
)
れ
声
(
ごえ
)
を振り立てはじめたので思い止まった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仏眼金輪
(
ぶつげんこんりん
)
五壇ノ法とか、一
字
(
じ
)
五
反
(
はん
)
孔雀経
(
くじゃくきょう
)
とか、七
仏
(
ぶつ
)
薬師熾盛光
(
やくししきせいこう
)
、五大
虚空蔵
(
こくうぞう
)
、六観音、八字文殊、金剛童子ノ法などという、およそ聞くだに凄まじい
咒法
(
じゅほう
)
ばかりで、読経の声はシワ
嗄
(
が
)
れ
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一刀、一刀、また一刀、
空
(
くう
)
を斬っては
鞘
(
さや
)
におさめる時の
凄
(
すさ
)
まじい彼の気合は、もうしゃ
嗄
(
が
)
れ果てて、何ものか世にあり得ない野獣の
咳声
(
しわぶき
)
のようだった。
喉
(
のど
)
はやぶれ手足は血によごれていた。
剣の四君子:03 林崎甚助
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
シャ
嗄
(
が
)
れ声をしぼって駈けまわっていたが、そのうちに、一ヵ所の陣幕のすそが、烈風にふき
煽
(
あお
)
られてぱッと
剥
(
め
)
くられた刹那、チラと、その中にいた赤地錦の
鎧直垂
(
よろいひたたれ
)
と八龍の兜との人影を
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こう高々とシャ
嗄
(
が
)
れた声をしぼっている
香具師
(
やし
)
がある。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
玄尊はここで、シワ
嗄
(
が
)
れた声に、ひと息入れた。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嗄
漢検1級
部首:⼝
13画
“嗄”を含む語句
皺嗄声
皺嗄
嗄声
咳嗄
嗄枯
嗄々
嗄聲
洒嗄
老嗄
薄嗄