“咳声”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しわぶき76.0%
せき12.0%
がいせい4.0%
しはぶき4.0%
しわぶ4.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そう二つの部屋をつないでいる横の長い棟の——先刻さっきからしんと閉めきっている窓障子の一室には、四男の右門が咳声しわぶきもしていなかった。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平常は病をいたわられて、季節変り、朝夕の寒暑にも、立ちどころに咳声せきを増し、よく熱など出す弱体が、この炎暑に、粗食をつづけ、兵や軍馬と共に歩み
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蜀帝の力ある玉音は群臣のうえにこうせんした。朝に侍す百官は粛として咳声がいせいもない。綸言りんげんあに疑義ぎぎあらんやと人はみな耀かがやく目を以て答え、血のさしのぼる面をもって決意をあらわしていた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
反響ひゞきのみは我が耳に堕ち来れど咳声しはぶき一つ聞えず、玄関にまはりて復頼むといへば、先刻さき見たる憎気な怜悧小僧こばうずの一寸顔出して、庫裡へ行けと教へたるに、と独語つぶやきて早くも障子ぴしやり。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
しかし扈従こじゅうの面々は、光秀のそうした胸のうちよりは、光秀が時折に咳声しわぶ容子ようすを見て、より以上な心配を寄せ
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)