傷寒しやうかん)” の例文
「まだありますよ。此春は主人の金兵衞が傷寒しやうかんわづらつて、危ないと言はれましたが、喜三郎はその枕元に付きつきりで、六十日の間帶も解かなかつたさうですよ」
傷寒しやうかんの病に紛れ無く、且は手遅れの儀も有之、今日中にも、存命覚束なかる可きやに見立て候間、詮方せんかた無く其旨、篠へ申し聞け候所、同人又々狂気の如く相成り
尾形了斎覚え書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
見せにつかはされしに役人は家主いへぬし徳兵衞を案内に庄兵衞が家を調べんといたり見しに此節女房は傷寒しやうかんにて打臥とこに着しまゝ立居も出來できぬ體なり斯る所へ家主の案内にて役人やくにん入り來り家搜やさがしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
中江川平太夫は白虎びやくこの平太と異名を取つた大盜賊で、三十臺に傷寒しやうかんわづらつて頭の毛は眞つ白になりましたが、年はまだ四十そこ/\、ヨボヨボどころか恐ろしい體術の達人で、猿のやうにはりを渡り
與へ孤子みなしごなればとて只管ひたすら不便ふびんに思ひやしなひけり扨て玉之助も年月のたつに從ひ成長せいちやうしければ最早もはや牛馬にもふまれじと嘉傳次も少しく安堵あんど益々ます/\成長の末をいのりし親の心ぞせつなけれ其夏の事とか嘉傳次は傷寒しやうかん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)