二人ふたあり)” の例文
黒い頭で下はふさがっている上から背伸せえのびをして見下みおろすと、はすに曲ってるむこうの石垣の角から、こん筒袖つつそでを着た男が二人ふたあり出た。あとからまた二人出た。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まるで二人ふたありっきりなんだものねーえ
『え、新坊さんと二人ふたありの。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「とうとうって来たのね、御婆おばあさんも。今までは御爺おじいさんだけだったのが、御爺さんと御婆さんと二人になったのね。これからは二人ふたありたたられるんですよ、貴夫あなたは」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
黒かこんか色の判然はっきりしない筒服つつっぽうを着ている。足は職人の穿くような細い股引ももひきで、色はやはり同じ紺である。それでカンテラをげている。のみならず二人ふたありが二人とも泥だらけになって、れてる。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これは天井の陥落を防ぐため、少し広い所になると突っかい棒に張るために、シチュウが必要な作事場へ置いて行くんだそうだ。その上に二人ふたあり腰を掛けて、残る一人がしゃがんで丸太へ向いている。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)