上品じょうひん)” の例文
どこか上品じょうひんで、ものごしのしずかなたびさむらいが、森閑しんかんとしている御岳みたけ社家しゃけ玄関げんかんにたって、取次とりつぎをかいしてこう申しれた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ちくしょうめっ! なにが科学者だい。学者ってものは、もうすこし上品じょうひんなもんだよ。大きなつらをしやがって……あいつは悪魔あくまかもしれねえぞ」
はねを上品じょうひんにあげて、目にもとまらない早さで動いています。その踊りには、まことにふしぎな、ひとの心をうっとりとさせるようなものがあります。
けれどもそれがどうでしょう、もうけっしていまはあのくすぶった灰色はいいろの、るのもいやになるようまえ姿すがたではないのです。いかにも上品じょうひんうつくしい白鳥はくちょうなのです。
おばあさんは、じろじろと少女しょうじょのようすをて、孤児みなしごにしては、あまりきれいで、どことなく上品じょうひんなので、なんらかふにちないようにくびをかたむけていました。
海からきた使い (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし佐橋家で、根が人形のように育った人参にんじん上品じょうひんを、非常に多く貯えていることが後に知れて、あれはどうして手に入れたものか、といぶかしがるものがあった。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
こういって、ベンジャミンがおけをあげますと、りっぱな着物きものをきて、ひたいにきんの星をつけたおひめさまがあらわれました。それは、にも美しく、やさしい上品じょうひんなすがたでした。
そしてどちらかとへば面長おもながで、眼鼻立めはなだちのよくととのった、上品じょうひん面差おもざしほうでございます。