一寸ちょと)” の例文
その側面には複雑なひだのある毛織物で、巧みに錯覚を起させるようなカムフラージュが施され、一寸ちょと見たのでは少しも分らないように出来ていた。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
モシモシはばかりながら一寸ちょとものをお尋ね申しますと云うような口調に出掛けて、相替あいかわらず下らぬ問答を始め、私は大阪生れで又大阪にも久しく寄留して居たから
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
一寸ちょとついわたいた受取うけとった/\一つでは乳首くわえて二つでは乳首はないて三つでは親の寝間を離れて四つにはよりよりいつつでは糸をとりそめ六つでころ機織はたおりそめて——
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
春の波小さき石に一寸ちょとおど
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
所がとんおとづれが分らない、と云うのは私は榎本とう男はしって居ることは知て居る、途中であっ一寸ちょと挨拶したぐらいな事はあるが、一緒に相対あいたいして共に語り共に論ずると云うような深い交際はない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)