-
トップ
>
-
むなしく
投空敷なりたりけり
案ずるに鬼女の如き
面體になりしを
恥て死にけるか
但亂心にや一人は
末に名を上一人は
末に名を
穢せりと世に
風聞せしとなん
盡したれど
定業は
逃れ難く母は
空敷なりにけり兵助の
愁傷大方ならず
然ど
歎て
甲斐無事なれば泣々も野邊の送りより七々四十九日の
法なみもいと
懇ろに
弔ひける。
晴さんとの
惡念芽しけるこそ恐ろしけれ斯て吾助は
好機あれかしと
隙を
窺ひけるに喜内は何事も愼み深く其上武術に達しければ
憖ひに手出を
成て仕損じては一大事と
空敷半年餘りを