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とうみやうだい
飛脚は
大波に
漾ふ
如く、
鬼門關で
泳がされて、
辛くも
燈明臺を
認めた
一基、
路端の
古い
石碑。
土橋を
斜に
烏森、と
町もおどろ/\しく、やがて
新橋驛へ
着いて、づぶ/\と
其の
濡幌を
疊んで
出で、
𤏋と
明く
成つた
處は、
暴風雨の
船に
燈明臺、
人影黒く、すた/\と
疎らに
往來ふ。
あの
奧遙に
燈明臺があるといふ。
丘ひとつ、
高き
森は、
御堂があつて、
姫神のお
庭といふ。
丘の
根について
三所ばかり、
寺院の
棟と、ともにそびえた
茂りは、いづれも
銀杏のこずゑらしい。