“ねり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
70.6%
11.8%
黄蜀葵5.9%
5.9%
5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
次第に数が増すと、まざまざと、薄月うすづきの曇った空に、くちばしも翼も見えて、やがては、ねりものの上を飛交わす。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
取結とりむすばせける夫より夫婦なかむつましく暮しけるが幾程いくほどもなく妻は懷妊くわいにんなし嘉傳次はほか家業なりはひもなき事なれば手跡しゆせきの指南なしかたは膏藥かうやくなどねりうりける月日早くも押移おしうつ十月とつき滿みちて頃は寶永二年いぬ三月十五日のこく安産あんざんし玉の如き男子出生しゆつしやうしける嘉傳次夫婦がよろこび大方ならずほどなく七夜しちやにも成りければ名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勘次かんじまた蕎麥そばつたことがあつた。かれ黄蜀葵ねりつなぎにしてつた。かれまたおつぎへ注意ちういをしてくはでさせなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
手桶てをけつめたいみづさらした蕎麥そば杉箸すぎはしのやうにふといのに、黄蜀葵ねり特色とくしよくこはさとなめらかさとでわんからをどさうるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
やっと気がついて、水と、葡萄酒の樽と、二十五斤入りの乾麺麭の袋を一つ投げてよこしたが、乾麺麭の袋は見当がちがって海に落ち、引揚げたときは大きなねり粉の塊りになっていた。
海難記 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
種類は十四五種ぐらゐあるらしいが、どの香も、ねり稠剤の関係でか、香気の共通性があつて、香気は異るには異るのだが、香水ほど際立たない。之れも、特殊な場合の、特別な用途にはいいだらう。