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しらぎく
斜めにうねった
道角に、
二抱えもある
大松の、その
木の
下をただ
一人、
次第に
冴えた
夕月の
光を
浴びながら、
野中に
咲いた一
本の
白菊のように、
静かに
歩みを
運んで
来るほのかな
姿。
野
越え山越え里打ち過ぎて
合来るは
誰故ぞ
合さま故
合誰故来るは
合来るは誰故ぞ様故
合君は帰るか
恨めしやのうやれ
合我が住む森に帰らん我が思う思う心のうちは
白菊岩隠れ
蔦がくれ
「さびしがっておろうの」範宴は、庭へ下りて、
籬に咲いていた
白菊を
剪った。