“さいな”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
55.4%
23.0%
5.8%
呵責4.3%
3.6%
2.9%
苛責2.2%
叱責0.7%
0.7%
0.7%
虐遇0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その未練をこの頃考へ出すのをなるべく避けてゐて、而も私はそれにすつかりとりこにされ、容赦なくさいなまれ虐げられてゐたのであつた。
同時に又いつもクリストの中に我々をさいなんでやまないものを、——近代のやつと表現した世界苦を感じずにはゐられないであらう。
西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
蒼天の星の如くきらめくG師の眼光も一緒になつて、自分の心に直入し、迷へる魂の奧底を責めさいなむのであつた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
よし自分の身辺にまつはる事情や行懸りをうつちやつても……。我が身を引ン裂いてなりと、まのあたり銀が餓えと恥辱に呵責さいなまるる苦痛をすくはうと煩悶した。あせつたのである。
もつれ糸 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
中村と一緒に生活していた間に私の最も悲しかったことはしかし、中村に苛められさいなまれたことではない。それは弟とわかれたことであった。
一日中炎天の下に旅行用のヘルメットをかぶって植木鉢の植木をさいなんだり、飼ものに凝ったり、猟奇的な蒐集物しゅうしゅうぶつに浮身をやつしたりした。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
さなきだにかれ憔悴せうすゐしたかほ不幸ふかうなる内心ないしん煩悶はんもんと、長日月ちやうじつげつ恐怖きようふとにて、苛責さいなまれいたこゝろを、かゞみうつしたやうにあらはしてゐるのに。其廣そのひろ骨張ほねばつたかほうごきは、如何いかにもへん病的びやうてきつて。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かのうるはしき歌をきゝて、彼等の我を憐むことを、淑女よ何ぞかく彼を叱責さいなむやと彼等のいふをきかんよりもなほあきらかに知りし時 九四—九六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
それがどうしてこの、縁もゆかりもない自分を、こんなにまでさいなむのだろうか。冷静にかえったお久美は、不思議なのを通りこして、途方もなく愚かしいことに感ずるだけだった。
あの顔 (新字新仮名) / 林不忘(著)
まづその樹皮じゆひさいなんで、そろそろ、おまへたちの祕密を汚してみよう、いたましいいろいろの心よ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
それにしても、紙帳に近寄る男は斬り、紙帳に近寄る女は虐遇さいなむという、この左門の残忍性は、何から来ているのであろう?
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)