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ごくらくじょうど
船室に
在りて
憂目に
遭いし
盲翁の、この
極楽浄土に
仏性の恩人と
半座を分つ
歓喜のほどは、
著くもその
面貌と挙動とに
露れたり。
しかるに
困ったことにこの
娘の
両親は、きつい
仏教信者であった
為め、わが
児が
早く
極楽浄土に
行けるようにと、
朝に
晩にお
経を
上げてしきりに
冥福を
祈って
居るのじゃ……。
しばらくこちらで
極楽浄土の
夢なりと
見せて
仏式で
修行させるのも
却ってよいでもあろう。
私どもは
別に
平生厚い
仏教の
信者というのでもなかったのでございますが、
可愛い
小供を
亡った
悲歎のあまり、
阿弥陀様にお
縋りして、あの
娘が
早く
極楽浄土に
行けるようにと