“いたで”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
傷手61.3%
痛手21.3%
負傷6.3%
重傷5.0%
1.3%
創手1.3%
深傷1.3%
1.3%
痛痍1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
神のごとき純なお千絵に、生涯の傷手いたでを与えて去ることは、かの女を幸福にすべく起った初志をみずから裏切っていないだろうか。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
愛なき結婚が生んだこの不遇と、この不遇から受けた痛手いたでから私の生涯は所詮しょせん暗いとばりの中に終るものだとあきらめた事もありました。
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そうしてそれでも辛うじて広い河原を向こうへ越すと暮れせまって来た薄闇の中へ負傷いたでの姿を掻き消した。
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その歩々ほほおとせし血は苧環をだまきの糸を曳きたるやうに長くつらなりて、畳より縁に、縁より庭に、庭より外に何処いづこまで、彼は重傷いたでを負ひて行くならん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ひとうはさととも彼女かのぢよいたではだん/\その生々なま/\しさをうしなふことが出來できたけれど、なほ幾度いくどとなくそのいたみは復活ふくくわつした。彼女かのぢよしづかにゐることをつた。それでもなほそのくゐには負惜まけをしみがあつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ふかみ、創手いたでよりひじりごころは
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
山田ははや為すすべを知らない深傷いたでを身に蒙った。而も、「伊藤が居る間は……」という言葉は、その傷をして殆んど致命的のものたらしめていた。
掠奪せられたる男 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
拍子木へうしぎなげきまたいといたし古きいたで
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
此時横井の門人下津は、初め柳田に前額を一刀切られたのに屈せず、奮闘した末、柳田の肩尖かたさきを一刀深く切り下げた。柳田は痛痍いたでにたまらず、ばたりと地に倒れた。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)