虫の声むしのこえ
東京の町に生れて、そして幾十年といふ長い月日をこゝに送つた………。 今日まで日々の生活について、何のめづらしさをも懷しさをも感じさせなかつた物の音や物の色が、月日の過ぎゆくうちにいつともなく一ツ一ツ消去つて、遂に二度とふたゝび見ることも聞く …
題名が同じ作品
虫の声 (新字新仮名)永井荷風 (著)