最近私の見た東北大学の図書館にある一本のごときは、書名を『鬼三太残齢記きさんたざんれいき』と称し、序文に歳は重光大康落にある臘月ろうげつ十日とあって、仙台の城下で人の話を筆記したといっている。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)