反玉足玉かえしたまざたちたま高代道反玉たかしろのみちあかしたま』とある——その中の高代たかしろの二字が、お母さまの瞳に映ったのですけど、文字力のない現在の十四郎には、それを高代たかよと読む以外にすべはなかったのです。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)