幸太郎が安政四年に、陸奥国牡鹿郡折むつのくにおじかごおりおりの浜の小庵に、剃髪して黙昭と名乗って隠れて忍んでいる休右衛門を見出したのは、安政四年十月六日のことだった。
仇討三態 (新字新仮名) / 菊池寛(著)