この物語は、その手記に書かれたものの一つで、時代は天保の始め、所は東北のある大藩、所領何十万石、阿武隈大膳正あぶくまだいぜんのしょうの乱行記の一節、世にも馬鹿馬鹿しく、そして凄惨極まる話であります