長谷川二葉亭はせがわふたばていの「浮雲」があれほどの新しさを私達の胸中にび起したのも、その要求をみたし得たからであって、あれほどあざやかに当時を反映し、当時を批評した作品もめずらしかった。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)