旧字:鐵砲洲稻荷
兎に角場面はあつらへ向だ。久しく散歩しないが、あの辺はむかしと大して変つちやゐまい。鉄砲洲稲荷てつぱうずいなりはあるし、新川新堀があるし、つい此間まで大嶋行の港があつたし、東京の生活を
来訪者 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)