しかも彼のごとく悠揚迫らずして、おのずから軽妙洒脱けいみょうしゃだつの趣を具えている俳優は、ほとんど見当たらないように思われる。たってその後継者を求むれば、やはりかの幸四郎であろうか。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)