食器のふれ合う音や絶間ない人出入りでかきみだされているその食堂の空気をふるわして、絃楽四重奏ストリング・クワルテットがミニュエットを奏している。伸子は、音楽に耳を傾ける表情で食事をはじめたが、やがて
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)