次手に葡萄架後の台所を覗けば、これも世間並の台所にあらず。「雲厨宝鼎うんちゅうほうてい」の額の左右に金字の聯をぶら下げて曰、「勺水共飲蓬莱客しゃくすいともにのむほうらいのかく粒米同餐羽士家りゅうまいおなじくさんすうしのいえ
北京日記抄 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)