姫は大門の閾を越えながら、童女殿上わらはめでんじやうの昔のかしこさを追想して居た。長いいしき道を踏んで、二の門に届いた時も、誰一人出あふ者がなかつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)