最初に出来た長子が夭折ようせつし、次に生れた長女はひ弱くて心細かったのでしょう、その頃石見国美濃郡いわみのくにみのごおりに高橋魯庵ろあんという人があって、その子の順吉というのが夙慧しゅくけいとして聞えていましたので
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)