かれのおる山牢は、一面の矮生植物わいせいしょくぶつにつつまれた、こぶのような地点だが、そこから見下ろすとズッとふもとにあたる所に、ポチと、二個の寸影すんえいが立っている。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)