皇后宮亮こうごうぐうのすけ経正は、幼い頃、仁和寺にんなじ御室おむろの許で、稚児姿で仕えたことがあった。慌しい都落ちにも経正は五、六騎の供を連れ仁和寺へお別れにやってきた。