友の妻になれと遺言して死んだ先夫の一言いちごんを言葉通り実行して恋に於ての勝利者たる彼等夫妻の前途は、決して百花園中ひゃっかえんちゅうのそゞろあるきではあるまい、とはして居たが、彼女は早くも死んだの乎。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)