その煙の奥の方から本郷の方へと陸続と避難して来る人々の中には顔も両手も癩病患者らいびょうかんじゃのように火膨ひぶくれのしたのを左右二人で肩にもたらせ引きずるようにして連れて来るのがある。
震災日記より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)